フランス文化とフランス人

【必見】フランスNG マナー集 10個厳選しました!

NG

パリに住むフランス政府公認ガイドの「イーノー」です。

長年フランスに住んでいると、
フランスに慣れていらっしゃらない日本人の方をみて、

「ああー〇〇やっちゃってる~!
日本では問題ないけど、フランスではちょっと~」

って思う場面に出くわせることがあります。

そこで今回は
イーノーのフランス30年の経験をもってして、
フランスNGマナー、まわりが見ていて気になるもの10個を厳選しました。

● いつかフランスに旅行にいこう、と思っていらっしゃる方
● フランスに来てまだ間もない方
● フランスに行く予定はないけど、異国の文化を知るのが好きな方

是非ご一読ください。

フランス通の方には
「そうそう私もそれ気になる。」っていう内容が多いかと思います。

イーノーの気になり度が高いものから低いものの順に、
フランスNGマナー10個を並べました。

注意: NGマナー集なので、タイトルに書いてある行為は、フランスでやってはいけない行為のほうです。

1位 鼻をすする。

nosephoto : Carlos ZGZ on flickr

なんとこれが、フランス人の不快感を大いに掻き立てる行為の1つなのです。

フランス人は鼻をすすりません。

その代わり、人前でおもいっきり、本当におもいっきり(鼻血が出るんじゃないかと思うくらいの勢いで)鼻をかみます。

挙句の果ては、鼻をかんだティッシュペーパーをズボンのポケットやカバンのポケットにしまいこみます。

日本人にとってはこれこそが不快なのですが……

「鼻をすすることのどこがいけないの?」
と思われる方も多いのではないでしょうか?

私の考えですが、
「鼻をすする音」がいけないのだと思います。

鼻をすすらない人たちには、「すする音」が新鮮で、目立ってしまうのです。

また、鼻水を体の中にため込んで持っている感じを想像させます。
それで、「気持ち悪い」とフランス人に思わせてしまいます。

「人の前で思いっきり鼻をかまれる方が不快だわ」とおっしゃるのはごもっとも。
ですが、ここは

「郷に行っては郷に従え」

どうか

フランスでは鼻をすすらず、公共の場でも、人の面前でも、堂々と鼻をかんでください。

鼻水をすするより、鼻をかんで鼻水を体の外に出してしまった方が健康にもよいですよ。

2位 コーヒーや紅茶をすすって飲む。

cafe-chaudphoto : Dunhill on photo AC

スープ飲むときに音を立ててはいけない、というのはよく知られていること。
みなさん気を付けて、そーっとスプーンを口に運んでいらっしゃいます。

しかし、コーヒーや紅茶が盲点でした。
熱い日本茶を「ずずーっ」とすする感覚で、
「ずずーっ」と音を立ててコーヒーや紅茶を飲まれる方がたまにいらっしゃいます。

フランス人は、「ずずーっ」という音を聞いてびっくりしてしまいます。

とにかく「音」に敏感な人々です。

みなさん、一度、コーヒーや紅茶を飲んでいるときに音を出していないかチェックしてみてください。

意外と無意識に音をだしていることがあります。

パリのラーメン屋、うどん屋、蕎麦屋に行ったときには、思い存分、音を出して食べてください。

なぜなら、周りにいるラーメン好き・うどん好き・そば好きフランス人は、
ほんものの日本」を求めているのです。

音を出して麺を食べることができない彼らは、
ずるずるずるーって麺を吸い込んで食べる日本人にあこがれています。

みなさん、尊敬のまなざしで見られるはずです。

最後に話を戻して、

ラーメンやお蕎麦はいいけど、コーヒー紅茶は音立てて飲まないようにしてください

 

3位 開けたドアをさっさと手放す。

metrophoto :  Kevin Dellandrea on Unsplash

「どういうこと?」って思われたかもしれませんね。

フランスには自動ドアが非常に少ないです。
ドアは押して開けるか、引いて開けるタイプが主流。
メトロの改札、建物の出入り口などに押す引くタイプのドアがあります。

フランスではドアを開けて通るとき、
すぐ後ろに人が来ている場合には、
ドアを支えて後ろの人を待っていてあげるのがふつうです。

だからフランス人は無意識的に、
前の人がドアを持って待ってくれていると思っています。

さっさと手を放して前の人が行ってしまうと、
ドアが後ろの人の顔に当たりそうになるんですね。

私自身、前の人がすぐにドアの手を離してしまい、
「おおー」って驚いた経験が何度もあります。

 

ここで問題なのは、

「どのくらい後ろにいる人のためにドアをもって待っていればいいのか?」ということです。

すぐ後ろではなく、微妙に後ろの方に人が来ていたらどうするか……

これ、なかなかの悩みどころです。
ルールはありません。

わたしは、自分がものすごく急いでいるときは3秒だけ待ちます。
(別に秒読みをしているわけではないのですが、大体の目安です。)

そんなに急いでない時で5秒待つ。

最近の20代30代のパリジャンはスピーディーに生きています。
3秒以上はドアを持って待っていないですね。

ですから、パリではドアを持って待つ時間は目安3秒にしましょう。

3秒、次の人のためにドアに手をかけ、開けた状態で待っていてあげる。

でも、地方の村の人はゆったりとしています。

のんびりした地方に行かれた場合は、
5~8秒くらいドアもって待っていてあげてください。

4位 女性が男性にワインを注ぐ。

winephoto : Burst on Pexels

日本は女性が男性にお酌をするのは伝統的にふつう。

フランスでは
お酒は男性が女性に注ぐものです。

サーバーでない限り、女性は男性にお酒を注ぎません。

 

女性同士で食事に行ったときはどうするか?
こういう時は女性同士でワインのつぎあいっこして問題ないです。

でも少しいいレストランですと、
サーバーが気を利かせてワインを注ぎに来てくれるはずです。

 

次ぎに、女性の方が目下で男性が目上の人の場合はどうすればいいのか?

それでも、男性がワインを注ぎます。

 

あなたが女性だとして、相手の男性が顧客だったらどうするのか?

それでも、男性がワインを注ぎます。

 

しかし、相手の男性がこのマナーを知らない方だと、ルールを厳守するのは難しいですよね。
わたしも、そういうシチュエーションに何回も出くわせました。
そういうときはどうするか?

女性のわたしが男性にワインをお酌します。

 

グル―バル化のご時世、フランス人も日本人のことを良くわかっている人が増えています。女性が男性にワインを注いでも、そこまで変な目では見られなくなりました。

でも、まわりのフランス人がご年配だと、
特にフランス人女性が、怪訝そうな顔をしてこっちを見て来ることも多いです。

この記事を読んでくださった男性、女性の皆さん、

フランスでは男性が女性にワインを注ぎましょう!

 

5位 思いっきりくしゃみをする。

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photo: mojca.j on Pexels

フランス人はくしゃみが出そうになったら、器用にそれを押し殺します。

わたしはこの技だけは30年かけても習得できません。
だから仕方なく、両手を口にあて、下を向き、なるべくくしゃみの音が漏れないように努力しています。

どうしてくしゃみを押し殺さないといけないのか?

これはいまだに謎です。

つばが飛ぶのを避けるため、というよりは、
うるさい音を嫌うフランス人ですので、大きな音をたてないようにするためなのかな……と考えています。

でもそうすると「思いっきり鼻をかむ音はどうなのか?」という疑問も出てきます。

たまに日本人の男性の方で、手も当てず、
下を向いて「はーっくしょーん」
さらに最後に「はあーーーー」と付け足し、
爽快なくしゃみをする人いらっしゃいますよね。

きっと、こういうくしゃみは、
身体にたまった悪いモノものをぜーんぶはきだし爽快感もともなう、とても健康に良いことだと思います。

でも、この目立つくしゃみはフランスではだめです、絶対ダメ!

 

くしゃみをするときは押し殺す、それができなければ、なんとかくしゃみの音を小さくする努力をしてください。

さらにフランス人は、くしゃみをした後、謝ります。
“Pardon”(パルドン)=すみません
っていいますね。

すると近くにいた人は、見知らぬ人でも、くしゃみをした相手に向かって
”A vos souhaits” (ア・ヴォ・スエ)=直訳すると、「あなたの望みのために」
と返してくれます。
(くしゃみがでるのは神様が通り過ぎたとき、という言い伝えみたいなものがあるから。)

そして最後、くしゃみした人が
”Merci”(メルシー)=ありがとう
と答え
くしゃみに伴う一連の儀式(?)がおわります。

文章で書くと、
くしゃみひとつに超面倒な~
って感じですが、まあこの一連のやり取り、3秒くらいのモノです。

みなさんがフランスでくしゃみをした時に、誰かが
”A vos souhaits” (ア・ヴォ・スエ)って言ったら、
”Merci”(メルシー)
って答えてあげてください。

こういう昔からある些細なコミュニケーションが、とってもフランスらしいです。

6位 レストランやカフェで男性が奥の席に座る。

 

chaises

photo : Mat Reding on Unsplash

レストランやカフェでは、奥の席の方が「いい席」とみなされています。
奥の席はソファーになっていることもあります。

レディーファーストの国なので、
男女カップルの場合、奥の席は女性が座るものと思ってください。

もし、皆さんが男女のグループだったらどうするか?

まず、女性が奥の席に座る、その後、男性が空いた席に座る、という形になります。

男女の比率で、通路側に座る女性が出てくるかもしれません。
あるいは奥の席に座る男性が出てくるかもしれません。

それはそれで大丈夫です。

どっちが奥かわからないような場合は?

女性が、眺めのいい席、あるいは快適な席に座ります

でももし、「女性は若く男性の方はものすごいお年寄り」という場合は、男性が奥、女性が通路側でまったく問題ないです。

何事もケース・バイ・ケースで。

基本は、女性に奥の席、眺めがいい席を男性は譲る、というルールでお願いします。

 

7位 カフェやレストランでお酒飲みすぎ、宴会状態。

photo : Matthieu Joannon on Unsplash

お酒を飲みすぎると声が大きくなります。
公共の場でうるさくすることは、フランス一番のタブーです。

フランス公共の場で、学生と浮浪者以外に酔っぱらっている人は見たことがないですね。

やはり西欧人はアルコール分解酵素が多いのでしょう。

レストランで、お酒が入りすぎて声のトーンが高くなっているような人はいません。

たまにカフェでお酒が入りすぎて、どんちゃん騒ぎ状態になっている外人グループを見かけます。

カフェというカジュアルな場所でも、あまりよくないですね。

日本だとお酒に強いということはどちらかというと、「いいこと」あるいは「自慢できること」ともみなされています。

しかし、フランスではそういう考え方はまったくありません。

昼間でもお酒を飲んだりする文化なのに、
「お酒を飲むことは、あまりよくないこと」と考えられているんですよ。

でも、「お酒の味がわかることは良いこと」とみなされています。

この違いが大切です。

カフェなどでお酒をいっぱい飲んだときは、声の大きさに気を付けてください。

 

8位 待たされた時に、怒ったりイライラする。

waitingphoto : AbsolutVision on Pixabay

レジの人がとろとろ仕事をしている、レストランでオーダーした品がなかなか来ない、など「待つ」ことが多いフランスです。

そのときに怒鳴ったり、イライラした態度をあらわにしてはいけません

「待たせられ慣れ」しているフランス人は
みんな静かにおとなしーく待ちます。

列を作って待っているとき、知らない人同志で話が盛り上り、
自分の番が回ってきても話に夢中になっている、というお気楽な人もいます。

待つことに対して怒りをあらわにすると、その人の人格が疑われるような感じですね。

もちろん、レストランでオーダーしたお皿が来ないときは、
「40分待ってるんだけど。」とか言って、サーバーがオーダーし忘れてないかどうか、
さり気なく確認してみてください。

オーダー通ってなかった~、なんてこともありますので。
それでも怒っちゃダメ!

「まあ人間なんだから、そういうこともありますよ。ちょっと急いで用意してねッ。」
くらいの余裕の反応をしてあげます。

フランスにいると、とにかく忍耐力と人間性が養われます。

待たされても怒らない、平静心を常に保つ。これを覚えておいてください。

 

9位 人前で人に説教をする、怒鳴りつける。

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photot : Andrea Piacquadio on Pexels

この項目は、フランス旅行者の方にはあまり関係ないかもしれません。
仕事でフランスに来られる方はお読みください。

フランスでは、人前でいっぱしの大人の人を怒鳴りつける、説教するということは絶対にしてはいけません。

人前で、相手に恥をかかせるようなことをしてはいけないのです。

こういうところはひどく気を使うフランス人。

人権、プライドを尊重する文化です。

もしも会社で、上司が部下に注意をしないといけないときはどうするか。

目立たないように相手を個室に呼び出します。

もしあなたが、人前で誰かを怒鳴りつけたとしましょう。
怒鳴ったあなたが悪者になり、信用を無くしてしまいます。

これは、イーノーがサラリーマンだった時代に何度か目にしました。

 

人前で人を怒鳴りつけたり、説教するのはダメ。相手のブライドを尊重しましょう。
ちなみにフランス人は大の説教嫌いです。

 

10位 レストランやお店に入るときのレディーファースト

フランスはレディーファーストの国です。
しかし、逆の場合もあります。

それは、

レストランやお店といった公共の場所に入るときです。
伝統的には、「男性が先に入る」のが正しいです。

 

知らない場所に女性を先に送り込むのは危険だ、という考えから男性ファーストとなっています。

意外とこれ、知られていないんですよね。

 

しかしこの現代、レストランや店に怪しい人がいるわけでもないので、女性が先に入っても全く問題ありません。

でもやっぱり、それ相応の立場の人だったり、年配のカップルだと、レストランには
男性が先に入りますね。

 

そんなのどっちでもいい、っていう時代だからこと、

レストランにさり気なく男性が先に入っていく光景を見ると、
とてもエレガントに感じます。

レストランやお店に入るとき、伝統的には男性が先に入るのが正しい。

 

まとめ

以上、NGマナー10個を並べましたが、全部記憶しておくのも結構大変なことです。
また、ガイドブックや他のサイトを見たら、別のマナーも書いてあるし……

っで、最後に本質の要素だけ抜き取ってまとめました。

✔ 公共の場でなるべく音を立てない。ただし、鼻をかむ音は例外。

✔ 自分の立場に関わらず、相手のプライドをまずは尊重してあげる。

✔ レディーファーストは「女性を先に」という意味ではない。
女性の安全を保障し、女性に快適感を与えることを優先する、という意味。

マナー、マナーって考えているとガチガチになってしまい、楽しいはずのフランス旅行も楽しくなくなってしまいます。

上の基本3要素だけ頭の片隅にいれておいてください。

 

マナーを守ることより、
フランス滞在を楽しむ事の方が断然大切だ

とイーノーは思います。

 

最後までお読みくださって、ありがとうございました。

 

A bientôt (アビアント)!

※A bientôt (アビアント)=フランス語で「それではまた近々!」