パリに住むフランス政府公認ガイドの「イーノー」です。
フランスの卵の表示にはいろんなものがありすぎて、何を選んでいいかわからなくなります。
そこで今回、パリ生活30年、食と健康にこだわるイーノーが、
フランス農業・食料省や消費者団体のサイトを調べ、さらにたまご生産者の方にメールで質問して卵表示を調べつくしました。
(参考サイトは記事の最後に載せておきます。)
その集大成、
フランスの卵表示の意味と「どこをどう読み取ればいいか」をわかりやすくまとめました。
現在フランスに滞在していらっしゃる方、また、フランス旅行でキッチン付のホテルに泊まられる方、これを読んでいただければもう卵選びは完璧。
どうぞ最後までお読みください。
フランスの卵 表示のチェックポイント
卵の質を判断するには、次の3つのポイントをチェックしましょう。
- 親鶏の飼育方法
- 賞味期限(推奨される消費期限) できれば産卵日(書いていないことも多い)
- たまごの大きさ
では1つ1つ説明していきますね。
親鶏の飼育方法
![chicken](https://inoparis.com/wp-content/uploads/2020/11/poule.jpg)
卵選びをするにあたって、一番初めに見るべき表示が
親鶏の飼育方法です。
飼育方法は4つに分けられています。
それぞれの方法に0から3までの数字がついています。
数字が低いほど品質が良いと思ってください。
点数が高いほどいいと思いがちでしょ。気を付けてくださいね。0が一番いい!
0 BIO(ビオ)(※)
1 PLEIN AIR (単語の意味=屋外)
2 AU SOL (単語の意味=地上)
3 EN CAGE (単語の意味=ケージの中)
(※)この記事では頻繁にBIO(ビオ)という単語を使います。
ご存じの方も多いと思いますが、
BIOの説明をちょっとここに挟みますね。
BIO(ビオ)とは、
日本でいうオーガニック製品のことです。
フランス農業・食料省に認可されたBIO(ビオ)製品には
「ABマーク」(Agriculture Biologiqueアグリキュルチュール ビオロジックの略)がつけられています。
また、ABマークと共に
欧州規格のオーガニック製品マークがつけられていることが多いです。
![BIO](https://inoparis.com/wp-content/uploads/2020/11/AB-300x176.jpg)
ではそれぞれの飼育方法を見ていきます。
0 BIO(ビオ)
鶏の餌が95パーセント以上オーガニックでないといけません。
2021年1月から100パーセントに基準変更されます。
室内にはとまり木と巣があることなども条件づけられています。
昼間は屋外で放しがいにします。
他の飼育カテゴリーの鶏より、
- いいものを食べて
- 太陽の光に当たり
- (限られた範囲だけど)動き回っている。
と理解してください。
1 PLEIN AIR(屋外)
鶏を昼間は外で放し飼いにしています。
- 太陽の光にあたり
- (限られた範囲だけど)動き回っている。
- BIOとの大きな違いは、餌がオーガニックでないこと。
2 AU SOL (地上)
鶏を鶏舎のなかで平飼い。外には出しません。
- 太陽の光を全く浴びていない。
- かなり狭い場所だけれど、最低限の動きは取れる。
- 餌についてはPLEIN AIR(屋外)と一緒。
3 EN CAGE (ケージの中)
鶏をケージの中で飼育。外には出しません。
- 太陽の光を全く浴びていない。
- ケージの中でぎゅうぎゅうづめ、ほとんど動けない状態。
- 餌についてはPLEIN AIR(屋外)やAU SOL(地上)と一緒。
フランスでは動物愛護の観点から、
ケージ飼いの鶏の卵は2025年までにはなくす方向で動いているそうです。
フランスのエコバックで有名なスーパーMonoprix(モノプリ)は、すでにケージ飼いの卵は売っていません。
どこを見れば親鶏の飼育方法がわかるか
パック表示と卵の殻の押印を見ます。
パックには文字で書いてあります。
いっぱいいろんなことが書かれているのでよく見てみてください。
BIO(ビオ)表示は、下の画像をご覧ください。
![egg-package](https://inoparis.com/wp-content/uploads/2020/11/egg-package.jpg)
真ん中、赤丸にしたところに注目!
自慢げにBIOって書いてあります。
右端に青丸で囲んだところにはビオのABマークと
欧州規格のオーガニック製品マークが並んでいます。
左端に紫で丸をした部分はAが強調されています。
が、基本ここは絶対にAです。
なぜなら、人間が消費するために出回っている卵は全部Aと決まっているからです。
PLEIN AIR(屋外)カテゴリーだと下の画像のように表示されています。
光が反射している画像ですみません。
(スーパーで卵の写真撮りまくっていて、若干あやしげな人になっていたから急いでしまいました。)
![plein-air-egg](https://inoparis.com/wp-content/uploads/2020/11/Plein-air-egg-640x360.jpg)
BIO(ビオ)表示と同じくPLEIN AIR(屋外)表示もかなり自慢げです。
2と3のカテゴリーは画像がありませんが、
AU SOL(地上)とかEN CAGE(ケージの中)表示は
かなり目を凝らして探しまくらないとみつけられないレベルの目立たなさです。
BIOとかPLEIN AIRという文字がなければ、
2と3のカテゴリーだと判断してください。
でももっと分かりやすいのが
卵の殻に押印されている番号です。
スーパーで、箱を開けてたまごを1つとりだして見てください。
(箱が開けられなくなっているものを無理やり開けてはいけませんが、すぐ開けられるものは開けて問題ないです。)
下の画像をご覧ください。ちなみにこれは家の卵。
![eggshell](https://inoparis.com/wp-content/uploads/2020/11/Coquille-egg-585x360.jpg)
これにはBIOという文字も入っていますが、この文字はないこともあります。
その下の数字とアルファベットに注目。
0FRGCD03と書いてあります。
一番初めに書かれている数字が最も大事。
ここでは、
0になっています。
これがBIO(ビオ)カテゴリ―を表しているのです。
他のカテゴリ―の場合はここの数字が1,2,3に変わります。
その横のFRは生産国のイニシャル。FRANCEのFRです。
これも無視して大丈夫。フランスの卵の98パーセントがフランス産だそうです。
FRの横のアルファベット「GCD」は生産者の記号、その横の「03」は鶏舎のナンバーです。
これも無視して問題ないでしょう。(品質クレームするなら必要かも……)
卵の賞味期限と表示
![egg-date](https://inoparis.com/wp-content/uploads/2020/11/egg-date-640x360.jpg)
フランスでは産卵日の翌日から数えて9日目までをEXTRA FRAIS(超フレッシュ)と呼んでいます。
パティシエさんがカスタードクリームを作ったり、料理人の方が
半熟卵にしたりするときは、このEXTRA FRAISを使っていらっしゃいます。
産卵日の翌日から28日目までが賞味期限(正確には推奨消費期限)となっています。
フランス語では賞味期限をDCR(Date de Consommation Recommandée推奨消費期限の頭文字)と書きます。
フランス人の慣習では
卵は水の中に入れて沈んだら「まだ食べられる」
ということになっているそうですが……
私は怖いから、表示してある日を過ぎたら、その卵は食べません。
さて、賞味期限はどのように表示してあるか、3つ画像をご覧ください。
バラエティーにとんでますよ~!
1つ目は
小さいので画像では見にくいですが、
A consommer de préférence avant le (ou DCR)
と書いてあります。
直訳すると
「~以前に消費するのが好ましい(あるいはDCR=推奨消費期限)」
その下に
大きく15/12(12月15日)と書いてあります。
![egg-date](https://inoparis.com/wp-content/uploads/2020/11/DCR0-640x360.jpg)
上の画像には、15/12の下にも日付がかいてあります。
印字がちょっと消えていますが
Pondu(産卵): 17/11 extra (超フレッシュ)jusqu’au(迄) : 26/11
つまりこの卵は
産卵日が11月17日
超フレッシュなのは11月26日まで
賞味期限は12月15日まで
ということです。
つぎの画像を見てみましょう。
一番上に
Pondu le =産卵日
A cons.(consommerの略) de préf.(préférenceの略)avant le
つまり消費期限
と書いてあります。
![egg-dcr2](https://inoparis.com/wp-content/uploads/2020/11/DCR1-640x334.jpg)
産卵日が11月15日で賞味期限が12月13日です。
もう1つだけ。
これはシンプル。
DCR (賞味期限): 14/12だけを表記
お分かりのように、フランス人は個性を出すのが大好きです。
マニュアル化なんて、無しなし!
フランス語が分からない、あるいは苦手な方は、
もっとも大きな数字でかかれていて、間に/が入っているのが賞味期限だと理解しておいてください。
日付が先で月が後の数字ですよ~。念のため。
卵の大きさと表示
卵の大きさはお菓子を作る方には大切ですね。
また、大きさで値段も変わってきます。
フランスの卵の大きさ規定は次のようになっています。
(oeufという単語がフランス語で「卵」を意味しています。)
太字にしたフランス語が「大きさ」を表します。
XL : très gros œuf (73 g 以上) 特大
L : gros œuf (63 g 以上) 大
M : œuf moyen (53 g 以上)中
S : petit œuf (53 g未満) 小
S,M,L,XLではあまり表示されていません。
なぜなら、現在70歳以上のフランス人にはあまり馴染みのない表記方法だからです。
昔、アパレルの会社にいたとき、デパートの自社販売員さんは
S,M,Lの意味をアルファベットの順番で考えていました。
Lが一番小さくて、Sが一番大きい、って理解していましたからね~。
(アルファベット順だと、LのほうがSより先に出てくるから。)
サイズの書き方もそれぞれ個性があります。
以下、画像をご覧ください。
青丸したところにMOYEN(中)と書いてあります。
小さくてすみません。
![egg-size-1](https://inoparis.com/wp-content/uploads/2020/11/egg-size1-640x360.jpg)
こんな書き方されていたら、ちょっと見つけにくいですね。
下の画像では
CALIBRE GROS (大きさ 大)と書いてあります。
その横にはグラム数も丁寧に表示してあります。
![egg-sie-2](https://inoparis.com/wp-content/uploads/2020/11/eggg-size2-640x360.jpg)
卵の表示を複雑にするもの
卵の品質は親鶏の飼育方法で決まります。
0から3番まで、卵の殻に書いてあるやつです。
しかし、それに加えて、
SANS OGM(遺伝子組み換え無)という表示
LABEL ROUGE (赤ラベル)という表示
が存在します。
この2つが飼育方法と組み合わさって複雑さを増すのです。
でも、基本は飼育方法1,2,3ありき、だと考えてください。
つまり、飼育方法1,2,3のカテゴリーに追記として
SANS OGM(遺伝子組み換え無)
LABEL ROUGE (赤ラベル)
が加えられています。
SANS OGM (遺伝子組み換え無)
訳語の通りです。
BIO(ビオ)以外の卵は、遺伝子組み換えの餌が禁止ではありません。
しかし、SANS OGMって書いてあったら、BIO(ビオ)じゃなくても遺伝子組み換えの餌は使っていないということを意味しています。
以下の画像のように、BIO(ビオ)だから当然なのに、わざわざ
SANS OGM(遺伝子組み換え無)と書いてアピールしているものもあります。
青丸のところ注目。
![egg-bio-sans-ogm](https://inoparis.com/wp-content/uploads/2020/11/bio-sans-ogm-640x360.jpg)
当然のことまで表示されていると、逆にまぎらわしいです。
LABEL ROUGE (赤ラベル)
LABEL ROUGE(赤ラベル) も農業・食料省がだしている高品質ラベルです。
LABEL ROUGEは飼育カテゴリー分けの中では
1 PLEIN AIR (屋外)の中に入ります。
PLEIN AIR (屋外)だけが表示してあるものより、LABEL ROUGE (赤ラベル)って書いてある方が、親鶏が外で動き回れる面積がちょっと広いのです。
●屋外で放し飼いにするときの面積規定
PLEIN AIR は1羽につき4m2(ちなみにBIOも4m2とここは一緒)
LABEL ROUGE(赤ラベル)付のPLEIN AIR(屋外)は1羽につき5m2
(屋外の広さはBIOに勝る)
●餌の規定
PLEIN AIR(屋外)は穀類や野菜のくず以外に、動物性の原料を混ぜ合わせた配合飼料も与えることができます。
LABEL ROUGE(赤ラベル)付のPLEIN AIR(屋外)は
穀物と野菜のくずしか与えてはいけません。
LABEL ROUGE(赤ラベル)の方は、鶏が病気になったとき以外は抗生物質をあげるのもダメ。
これはBIO(ビオ)も一緒。
LABEL ROUGE付の卵でも遺伝子組み換えの餌が禁止されているわけではありません。
ですから、
LABEL ROUGEという表示以外にSANS OGM(遺伝子組み換え無)の表示があると、さらに安心です。
下の画像の卵がその例です。
青丸で囲んでいるところをご覧ください。
赤い楕円形の中のRマークがLABEL ROUGE(赤ラベル)です。その上に小さく小さくSANS OGM(遺伝子組み換え無)と書いてあります。
SANS OGMをもっと大きく書いてもいいのに、なぜか小さ目です。
![rouge-sans-ogm](https://inoparis.com/wp-content/uploads/2020/11/label-rouge-sans-ogm-640x360.jpg)
フランスの卵 どれを買うか?
ここまで表示のいろいろをご説明しました。
っで、「どうしたらいいの~?」という気分になってしまいましたよね。
結論
●「品質より安いのがいい」という方
値段で判断。
卵のパックには
4個入り、6個入り、10個入り、12個入り、20個入り、30個入りなど
がありますので、比較するとき要注意!
卵の大きさも見た方がいいです
●値段よりも安全性を取る方
0カテゴリーのBIO(ビオ)一択です。
BIO(ビオ)の卵は12個入りで4ユーロ(500円)前後です。
●BIO(ビオ)までのこだわりはないけれども
遺伝子組み換え肥料を食べている鶏の卵は避けたい方
1カテゴリー PLEIN AIR(屋外)あるいはLABEL ROUGE(赤ラベル)の卵で
SANS OGM(遺伝子組み換え無)の表示があるものを選んでください。
●遺伝子組み換えはどうでもいいけど、少しでも太陽の光を浴びている鶏の卵がいいという方
1カテゴリー PLEIN AIR(屋外)の卵を選んでください。
そこにLABEL ROUGE(赤ラベル)がついていると少しお高めになります。
![happy-egg](https://inoparis.com/wp-content/uploads/2020/11/egg-happy-300x225.jpg)
まとめ
卵を買う際には、事前に、
自分のこだわりどころがどの飼育カテゴリーに当てはまるかを決めておいてください。
パックの表示を見るか、卵の殻の押印の数字をみて、まず飼育方法をチェックします。
同じカテゴリー(0,1,2,3)のものでも、微妙に値段が違ったりします。
そこで、お財布と相談して買う卵を決定しましょう。
最後にひとこと。
卵の表示に個性はいらないから、
表示をもっと統一してほしい!
と願うイーノーでした。
最後までお読みくださって、ありがとうございました。
メルシー!(Merci)
参考サイト一覧
https://agriculture.gouv.fr/etiquetage-des-oeufs-mode-demploihttps:
https://www.infogm.org/faq-etiquetage-avec-ou-sans-OGM-en-France-et-en-Europe
https://www.economie.gouv.fr/files/files/directions_services/dgccrf/documentation/fiches_pratiques/fiches/etiquetage-oeufs.pdf
https://www.l214.com/communications/20150929-arnaque-sur-les-oeufs-vendus-en-supermarche
https://www.l214.com/marquage-des-oeufs-et-etiquetage
http://www.maison-tizac.com/fr/faq/page1.html
https://www.broceliande.fr/fr/oeuf-plein-air-label-rouge-bio-au-sol-je-suis-perdue-pouvez-vous-meclairer-sur-ces-differences.html
http://onatesté.com/index.php/rubriques/produits/98-oeufs-bio-label-rouge-ou-plein-air-comment-bien-choisir-ses-oeufs
https://lesoeufs.fr/tout-savoir/marquage-des-oeufs-tout-comprendre
https://eur-lex.europa.eu/LexUriServ/LexUriServ.do?uri=OJ:L:2008:163:0006:0023:FR:PDFhttps://www.originfood.info/choisir-oeuf-qualite/
いつも楽しくためになるお話をありがとうございます!この卵の分類法、複雑過ぎますね。
フランス人でも分からないって‼️笑
これから卵買う時、必ずBIOにしま〜す。
コメントありがとうございます。
BIOの卵で健康ライフを送ってくださいね!イーノー
フランス在住中で生卵をよく食べるので参考になりました!貴重な情報ありがとうございます
生卵男さんへ
コメントありがとうございます。
今後も皆さんのお役に立つ情報いっぱいアップしていきたいと思いますので、よろしくお願いします。
栄養満点の生卵で、これからもフランスでがんばってください。