パリの街

パリの街、何がいいのか考えてみた(感覚編)

pensee

パリに住むフランス政府公認ガイド「イーノー」です。

パリのイメージって、一般的には
「とってもよい」
と思うのですが、いかがでしょう?

フランスを訪れる旅行者の方たちは
この過大いいイメージだけを持ってパリに来られたために
「パリに失望」っていうパターンをときどき観光ガイドのわたしは耳にします。

日本より長くパリに住んでいるイーノーにとって
「パリ嫌い」っていわれることは
自分の子供やペット嫌い、って言われることと同じくらい
悲しいことなのです。
イーノーには子供もペットもいませんので、これ「たとえ」です。

パリに30年も住んでいると
フランスやフランス人の欠点は知り尽くしています。
その上でイーノーが「それでもパリ好き」
という理由を探ってみました。

イーノーの感覚的な話になりますが、
楽しみ方の例も入れてますので読んでみてください。

街並みが美しい!

いきなり、こんな月並みな回答 

すみません。

でも、やっぱり美しいと思うので、一番に挙げさせてもらいました。

パリの街は今から160年くらい前に
皇帝ナポレオン3世(有名なナポレオン1世の甥です)が
当時のセーヌ県知事オスマン男爵に命令して大改造されました。

広場からは道が放射線状に伸びていく、
広場の建物はシンメトリーにみえるように建てる。高さもそろえる、などなど
さまざまな「美の法則」に基づいて作られた街なのです。

つまり、美しく見えるように造られた街だから美しいのは当たり前。

rue_rivoli

©inoparis.com

ルーヴル美術館あたりからコンコルド広場まで、リボリ通りを歩いてみてください。
当時たてられ建物の並び、パースペクティブがみごとです。

以下、地図の青点線の部分が上の写真です。



ぐちゃぐちゃ感がおしゃれで楽しい。

フランス人は「きれいにみせる」技の達人。

本当はきれいでないものでも、きれいに見せるのです。

でも清潔という意味でのきれいさ感覚はあまり持ち合わせていませんから、
これは期待してはいけません。

台所の床にモノが落ちたら、食器を洗うスポンジで床をふき取る、
それをいったん洗って
今度はテーブルを拭く、こういう感覚です。

でもね、彼らは整頓するのがうまいのです。
雑然とした中でも、なんだかおしゃれに見えるように
整える技をもっています。

BAZARって言葉があります。
カタカナでかくとバザール
雑多に並べてある「市場」から
ぐちゃぐちゃ感を表現するフランス語になっています。

これパリのお店なんかの象徴です。

ところ狭しと商品が並んでいる、けど、なんだかかわいい。
これがパリっぽい。

陳列台の下に注目↓ 野菜の絵のはり紙がかわいい
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©inoparis.com

どこでもいいので朝市に行ってみてください。
あるいは、小さな小売商店をのぞいてみましょう。
ごちゃごちゃバザール感が味わえます。
商品の並べ方とか、細かな部分のかわいらしさ
みつけてみてください。

 

歴史の中で生きてる~って感じ。

パリの街並みって、100年ほど前とさほど変わっていません。
モネやピカソやコクトーやショパンが目にしたパリを見てる、
って思うと感慨深いです。

彼らもこの街の中で、いろいろな思いを抱えながら生きていたんだろうな~って考えると、
なんだか勇気づけられる思いがするのは
わたしだけでしょうか?

この世の有名人という有名人がパリに来ています。

みなさんのお好みの著名人を想像して
「その人も私が今目にしているパリを見ていたんだ。」
なんて想像しながら歩いてみてください。

建物を眺めていると
「OOOさんがXXX年からXXX年まで住んでいました」
という文字を彫ったプレートがあるのを見つけることも多いです。

tsuji_kunio_plate

©inoparis.com

「古き良きパリ」を感じたいなら
ムフタール通りを歩いてみましょう。横道にそれてみたりしながら。
古い通りが多いので、歴史の中に生きてる感 満載!

ムフタール通りはココ↓

コンサバだけど、いいもの取り入れる。

フランス人は基本コンサバです。
でも、他の国のいいものをとり入れたり
ということは率先してやるお国柄。
世間一般に普及するのは遅いんですけどね……

たとえば
フランス人基本的にアメリカ嫌っているけど、
ハンバーガー大流行。

ハンバーガーがいいものか、といわれると、
???ですが、
この忙しいご時世において、
ささっと食べられる、っという意味でいいものに入れました。

今はたいていのブラッスリーでハンバーガーがメニューにはいっています。

アメリカ嫌いだけど、受け入れてる感じがおもしろい!

ブラッスリーに入ってハンバーガー食べてみてください。
ブラッスリーで食べるバーガーを「グルメバーガー」って呼びます。
材料にこだわってる店のハンバーガーはとってもジューシーで
リッチな味わい。

(注:バーガ―をメニューにいれてないお店もあるから、メニュー確認してからはいってね。)

 以下の地図で記すL’Artisan du Burgerは、バーガー専門店です。
テークアウト主体の小さいお店だけど、イットインもできます。

おいしいですよ!

イーノーの好きなハンバーガーは
この店舗ベストセラーらしい

ST-GERMAIN-DES-PRÉS (サンジェルマンデプレ)という名のバーガー。

ハンバーグ以外にルッコラ、パルメザンチーズ、ベーコンがはさんであります。

でもここ、ゆっくりできる感じではないので、
ゆっくりしたい人はやっぱりブラッスリーがいいです。

無理してポジティブでない感じ、ホッとする。

「ポジティブ思考」という言葉が氾濫しているけれど、
ポジティブ、ポジティブって言われると疲れませんか?
イーノーだけ???

パリの街は、ポジティブっていう言葉はピンとこないです。

どちらかというとネガティブなイメージ。

お天気のせいだと思います。
一年を通してグレーなイメージ。乾燥した空気。

でもこの感じ、これがパリらしい空気なのです

 

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©inoparis.com

ネガティブでもいいのです。
疲れていようが、悲しんでいようが、
うきうきしていようが、
パリの街は、それを見て見ぬふりをするかのように、
淡々とありのままの自分を受け止めてくれます。

「ありのままを受けとめてもらえる感じ」
これほど居心地がいいことはありません。

イーノーはこの感じが大好きで、
パリに居ついてしまったのだと思います。

みなさんにもこの感覚、
感じとってもらいたい。
きっとパリ好きになります。

marais_chien

©inoparis.com

マレ地区を歩いてみてください。
静かで暗い雰囲気だけど、これがパリっぽい。

ポジティブとかネガティブではなく、
人々がこのパリで精一杯生きている感じ、
映画のシーンに入り込んだ気分に浸れます。

マレ地区って結構広範です。
以下の地図、赤で囲んであるところ全体をマレ地区と呼びます。

人間観察が楽しすぎ

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©inoparis.com

カフェのテラス席に座って、
道行く人をながめていると楽しくってやめられないです。

慣れないうちは人に見られているような気がして、
落ち着いてコーヒーも飲めない、っていう方いらっしゃいます。

誰も気にして見ていませんから、是非試してみてください。

慣れると病みつきになります。

いろんな人を観察していると
「みんな自由に生きてるなー」「人っていろいろだなー」
って思い、
「わたしも自由に生きていこう!」
と元気になります。

メトロの駅にもなっているODEON(オデオン)近くのカフェのテラス席に座る。
朝9時半ごろがいいです。
イーノーだったら、クロワッサンとカフェ・クレーム(Cafe Creme)
いわゆるカフェ・オーレを注文します。

道行く人ウオッチを1時間くらい楽しんでください。
これで100パーセント、パリジャン・パリジェンヌ気分が味わえます。

オデオン界隈だと、おしゃれな人がよく闊歩しているので、
いかにもファッションのパリを感じられます。

でも、いろんな地区で人間ウオッチしてみてください。
地区によって人の雰囲気大きく変わるから
そういう違いを発見するのもおもしろいですよ。

オデオンはこちら↓

パリジャン・パリジェンヌは干渉してこないのがいい。

パリジャン、パリジェンヌ、パリに住んでいる人という意味で使っています。

彼らは特に優しくはないです。あっちから寄ってきたりはしません。
でも、これは彼らが恥ずかしがり屋さんだからです。
自分から声をかける度胸がないのです。

でも、こちらが助けを求めさえすれば、パリジャン・パリジェンヌは答えてくれます。

彼らは人のことを干渉しません。
悪く言えば、フレンドリーという言葉の対局にある人々です。

でもこれ、考えようによってはむちゃくちゃ居心地がいい。

外人であろうが、フランス人であろうが、変わっていようがどうであろうが
誰も気にしないし関わってこないのです。

外人疎外感、っていうのがありません。

人々は外国人を「外人」っていう目では見ないです。
一人間として見ている、っていう感覚でしょうか。

パリにいると、疎外感を感じない、
人目を気にしなくてよい気楽さ
これが醍醐味ですね。

place_des_voges

©inoparis.com

お天気がいい日に公園にいって、ひとりであろうが気にせずに
芝生に寝そべってみてください。

気持ちいいですよ。
暑い日だったら、パリの町中の公園なのに「水着姿」っていう人もいます。

 

みんな子供のように自然体!

フランス人は「子供か~」って言いたくなるほど自然体な人が多いのです。

我慢、っていう言葉はフランス語には存在しません。

忍耐力っていう言葉はあります。
でも、忍耐力と我慢ってちょっと違うと思いません?
そう、「我の欲望を抑える」っていう感覚の
「我慢」がないのです。

これってある意味すごく生きやすい。

努力する意味での忍耐力は必要だと思うけど、
自分を抑える我慢、これを強いられると生きにくくなります。

フランスの我慢しない大人たち、厄介でもあり、うらやましくもあるのです。

パリのお店で「感じの悪い対応をされた」っていうケースは山ほどあります。

でも、そのときに
「我慢しない大人」っていう言葉を思い出してください。

すると彼らの感じの悪い対応が
「子供みたい。笑える~。」っていう感想に代わると思います。

そう、自分の機嫌にひじょーに素直な人たちです。

だから私たちもパリでは自然体でいいのです。
無理しなくていい、

自分の感情に素直に生きるのがパリっぽい。
いや、フランスっぽい!

まとめ

おしゃれで美しく、歴史を感じさせるパリの街。
でも、その中に時代にあった新しいものも発見できる。

この街で生きる人々を見ていると、
わたしも彼らのように

「ありのままの自分でいいんだ。」って感じられるようになる。

これがパリの究極のよさだと思っています。

パリの街は過去の栄光にすがっている死んだ街ではありません。
現代をいきるわたしたちが
また次の歴史をつくっている感がある街です。

パリの街を歩くと、人々が自然体で頑張って生きている、
そういう人間ドラマを感じます。

それが素晴らしいと思うし、
そういうのを見ているのがとっても楽しい。

これがイーノーにとってのパリの良さです。

 

人それぞれ、趣味嗜好はちがうものですから、
この記事の内容がピンとこなかった、という方も
パリで絶対に別の楽しみ方を見出せると思います。

ヴァリエーションにとんでいる
というのもパリの良さです。

と最後に付け足して、おわります。

 

最後までお読みくださって、ありがとうございました。

 

A bientôt (アビアント)!

※A bientôt (アビアント)=フランス語で「それではまた近々!」

 

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